商品について
精密に研磨された最軽量のスタイラスチップを採用し広帯域再生・低歪率を実現
■レコード盤の溝から余さず情報を引き出す無垢特殊ラインコンタクト針を採用
■軽量化を図るアルミニウムテーパーパイプカンチレバー
■発電効率を高めるパラトロイダルコイル
■クロストークを改善するセンターシールドプレート
■堅牢なダイキャストアルミニウム合金ハウジング
オーディオテクニカ独自方式のVMカートリッジが新ラインナップで登場した。新モデルは、針交換によって様々な音を楽しめるよう設計されているのも特徴だ。今回、「700シリーズ」3モデルの音をチェックした。
今回発売されたシリーズは、上位の700シリーズ、スタンダードの500シリーズ、そしてモノラル専用の600シリーズという位置付けで、それぞれに針先形状の異なるバリエーションが用意される。さらに、ステレオ仕様の製品群のなかでは各交換針の間に互換性があるので、複数の交換針を手元に用意し、好みやジャンルによって使い分けることもできる。
700シリーズはハウジングにダイキャストアルミ合金を使用し、高い剛性によって不要共振を低減する工夫を凝らしている。さらに、アルミテーパー製カンチレバーと高効率のパラトロイダル発電系を組み合わせるなど、VM型カートリッジの開発で培った技術を追い込み、音質改善策を徹底した。
そして今回のラインナップの場合、振動系と磁気回路の基本構造は共通だが、針先形状は最上位の「VM760SLC」が無垢特殊ラインコンタクト針、「VM750SH」が無垢シバタ針、「VM740ML」が無垢マイクロリニア針をそれぞれ採用し、絶妙な音質の違いを引き出している点が新しい。
VM760SLCは最上位機種で、シリーズのなかでも高価格なのでハードルが高いと感じる人がいるかもしれない。しかし実際に音を聴いてみると、空気感を引き出す伸びやかな低音再現、高密度で芯のある中域、倍音領域まで素直に伸びた高音域など、音質面でのアドバンテージは明らかだ。一音一音の質感が高いことに加え、低音から高音までスムーズなつながりの良さがあり、バランスの良さは疑いようがない。レコードの再生音に何を求めるのかは千差万別だと思うが、ジャンルを問わず上質なタッチを追求したいなら、このカートリッジは真先に候補に上げるべき存在だと思う。
文:山之内 正
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「Phile-web」所収記事を短くまとめたものです。
【製品仕様】
■本体サイズ(H×W×D):17mm× 17 mm× 28 mm
■重量:8g