商品について
光沢仕上げのキャビネットにアルミダイキャスト製プラッターを搭載。アナログ再生の愉しみを味わえる2スピード・ベルトドライブ・ターンテーブル
◆光沢のある多層塗突板仕上げのスタイリッシュなキャビネット
◆トルクの強いDCモーターによるベルトドライブ・ターンテーブル
◆精度の高いステンレススチール製スピンドルとアルミダイキャスト製プラッターにより、回転の安定性を実現
◆2スピード 33 1/3rpm、45rpm(EP/LP)再生に対応
◆カートリッジを付け替えて楽しめるユニバーサルタイプのスタティックバランス・S字型トーンアーム
◆高い読み取り精度で定評のあるaudio-technica製VM(MM)型カートリッジ(AT100E相当)付属
◆トラッキングエラーを防ぐアンチスケーティング機構搭載
◆フォノイコライザーアンプ搭載、LINE出力/PHONO出力どちらでも出力可能
◆USBデジタル出力を搭載、レコードの音をパソコンに取り込み可能
◆4点式金属製フットをゴムで本体に固定、高いハウリングマージンを実現
仕上げも美しいアナログプレーヤー入門モデル「TN-350」。大きな特徴はUSB出力を備えていることで、今までPCとUSB-DACで音楽を楽しんできた人にも強く薦められる。またフォノイコライザーを内蔵し、カートリッジも付属しているため、簡単な調整だけで、CDプレーヤーを接続するように使えるのも初心者にはうれしいだろう。さらに内蔵のフォノイコを通さないスルー出力も持っていて、カートリッジ交換や単体フォノイコの使用など、システムとしての拡張性も考えられている。
リファレンス機材はアキュフェーズのエレクトロニクスで、フォノイコライザー「C-37」、プリアンプ「C-3800」、パワーアンプ「A-70」。そしてスピーカーにはエラック「FS249BE」を組み合わせた。
まずTN-350に内蔵しているフォノイコライザーを使って聴いた。筆者のリファレンスソフトのひとつ、エリック・クラプトンの『アンプラグド』。このLPを聴くと、正統派のトーンが実に印象的だ。オーディエンスの拍手の弾け方や、手のひらの肉厚な感じなどがきちんと表現されている。高域には繊細感があり、中低域の温かみなど魅力的な音を持っている。また音場空間としては左右はもちろん、前後の定位が明確なのもいい。比較するべきものでもないが、同じ価格帯のCDプレーヤーでCDの『アンプラグド』を聴くよりも演奏の良さが伝わってくるのは間違いない。
続いてTN-350内蔵のフォノイコライザーを通さず、スイッチの切り替えで「スルー」の音を出力させ、リファレンスのフォノイコライザーC-37を通した音を聴いてみる。アリシア・キーズでは同じくS/N感の良い再生音になるのだが、ただし、低域の情報量や高域のレンジなど、カートリッジのポテンシャルを見極められるような感覚を持ってしまったのも正直なところ。たぶん実際に使う人も、まず内蔵フォノイコと付属のカートリッジで聴いて高い満足感を得るのだが、次に外部の単体フォノイコやプリアンプ内蔵のフォノイコを使うと、筆者と同じことを感じるかもしれない。こうなってくると、俄然カートリッジを替えたくなってくる。オーディオの正しいハマり方である。
ということで、ここでオルトフォンのカートリッジ「2M RED」を登場させた。クラプトンでは音の太さとSN感の良さが実に素晴らしい。さすがに実力派のカートリッジで、その良さをスポイルしないキャビネットやトーンアームの設計の良さやスピンドル部やモーターの滑らかさを感じる。比較すると、付属のカートリッジよりもずいぶん音の彫りが深くなっている。音の剛性感が高く、分解能や空間表現力などのバランスが良く取れている。
1〜2万円程度の製品とはあきらかに格の違う音がするので、アナログプレーヤー初心者も、できればこうしたクオリティのプレーヤーからはじめると、幸福なレコードライフが送れるだろう。仕上がりや使っている素材とその作り、そしてもちろん再生音を聴いた実感としては、相当なコストパフォーマンスを備え、なおかつ音楽を楽しく聴けるアナログプレーヤーが登場した、ということだ。
文:鈴木裕
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。