商品について
ゼンハイザーカナル型イヤフォンの入門モデル
ゼンハイザーカナル型イヤフォンの入門モデル
Black & White の2カラー
ゼンハイザーの「CX 1.00」は、“CX”シリーズのイヤホンの中でも一番下の価格帯に置かれたモデル。シリーズ最小な上にハウジング全体がほぼ球面。おかげで耳への収まりが素晴らしく良好だ。この点においてはシリーズのどのモデルもかなわない。というか、エントリーからハイエンドまであらゆるイヤホンの中でもトップクラスだ。また、イヤーピースだけではなく小型球形ハウジングまでが耳にしっくりとフィットするおかげなのか、遮音性もシリーズでいちばん良好に感じる。
音質は、厳しいコスト制限の中でもシリーズの基調となるサウンドをこの価格帯で可能な範囲で素直に提示したモデル、といった印象。
具体的には、高域の感触は他のモデルよりも少し硬めでその鋭さや明るさは少し強く感じるが、荒っぽくない細やかなシャープネスという方向性はしっかり維持されている。女性ボーカルについては、上位機が持つしなやかさがうらやましくもなる。しかし、シンバルやギターのカッティングなどのリズムは硬めにかっちりと立っている方が好みという方には、こちらの方が合うかもしれない。
「シリーズの基調となるサウンドをこの価格帯で可能な範囲で素直に」というのをより強く感じるのは低域だ。上位機「5.00」「3.00」と比べると薄味には感じるだろう。しかし、物量投入での低域制動が難しいこの価格帯で低域を無理に出そうとすると「低音が出るには出たが抑えきれずに出まくってる」ということにもなりがちだ。歌とベースの関係に限らず音楽やオーディオ全般において、特定の楽器や帯域が「出すぎるよりは足りないほうがまだよい」というのは考え方のひとつだ。
同社はこのモデルの音作り、特に低域においては「過ぎたるは及ばざるよりも悪し」「無理せず素直に」と判断した、ということだろう。そのあたりにピンときたエントリーユーザーには特におすすめしたいモデルだ。
文:高橋 敦
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。