商品について
ヘッドフォンの開発に伴う、長年のアンプ研究のノウハウを凝縮し、バランス駆動も実現
◆ヘッドフォンの開発に伴う、長年のアンプ研究のノウハウを凝縮し、バランス駆動も実現
◆デジタル入力搭載モデル
世界的なヘッドホンブランドといえるゼンハイザーが初めて手掛けるヘッドホンアンプという点でも注目された「HDVD 800」だが、ヘッドホンブランドが手掛けるアンプとしてはこちらも初めてのバランス駆動出力をサポートしている。
試聴環境はWindows環境ノートPC(ソニー製VAIO・OS:Vista SP2)、foobar2000(ASIO出力)を用い、HD 650/HD 700/HD 800のシングルエンド接続とバランス駆動でのサウンドをそれぞれチェックした。
●HD 650
〜シングルエンド接続〜
シングルエンド接続ではそれまで持っていた印象を良い意味で裏切ってくれる、程よい解像感と制動感を併せ持ったバランスの良いサウンドを聴かせてくれた。密度の高い音像は高低無理なく伸び、オーケストラの管弦楽器は滑らかでハリ艶良い。ハーモニーは麗しい旋律とともに奥行きを適度に感じさせ、自然な広がりを持つ音場を再現。ボーカルは肉付き良く艶やかな口元をすっきりと描き出す。
〜バランス接続〜
繋ぎ換えてみると、サウンドが一変。分離良く明晰な音に変化し、S/Nや鮮度感も向上。リズム隊のアタックのキレも良く、ボーカルの輪郭はきりっと引き締まってくる。それまで若干付帯感となっていた音像のふくらみも抑えられ、現代的な高解像度サウンドとなった。むろんHD 650の良い個性は失われておらず、音像の厚みや艶やかな質感描写力はそのままであり、よりサウンドステージに近づいて聴いているかのようなリアルさに推移した変化といえる。
●HD 800
〜シングルエンド接続〜
解像感と密度感、ともに見事なマッチングで、低域の制動力も高く素直でS/Nに優れた落ち着きあるサウンドが得られた。オーケストラでは楽器のディテールを的確に描き出しつつ、瑞々しい余韻を聴かせてくれる。空間性も豊かで、各パートの定位感も明確。純度、鮮度とも高く、品性の良い旋律はスマートに際立ち、すっきりとした爽やかなハーモニーが音場に満ちてゆく。ポップスのリズム隊だけでなく、ギターやホーンセクションも鮮明な輪郭を持ちながらも密度のある厚みを持っている。ハリ艶良いボーカルは口元をウェットに描きつつ、他のパートとはしっかりと分離。アタック感も素直で耳当たりも滑らかだ。
〜バランス接続〜
こちらも音の佇まいが一変し、極めてリアルで、音の立ち上がりから立下りまで非常にスピーディーなナチュラルサウンドを味わえた。音像も立体的でボーカルは肉付き良く自然。艶も程よく加わり、ディテールは滑らかだ。オーケストラの音場は奥行き深く、音の広がり方や残響の浮き上がりも極めてナチュラル。抑揚豊かな旋律はハリ艶バランス良く、付帯感のない澄んだ余韻を耳元に届けてくれる。
文:岩井喬
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。