商品について
CKS990専用φ13mm“DUAL MAGNETIC-FIELD DRIVER”搭載。強磁力設計と技術の結晶が織り成す先進の重低音再生
◆デュアルマグネティックフィールド・ドライバー
向かい合う二つのマグネットが磁力を最大化させる磁界の融合点を創出。高まる磁力で大口径ドライバーの力強く精密な駆動を導き、締まりある豊かな低域を表現します。
◆マルチトランジションDLC振動板
ダイヤモンドに近い高硬度を持ち、高域特性を向上させるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを振動板に採用。特定の不要な共振点を分散させ、有効振動面積を最大化した振動板との相乗効果により鮮明な重低音再生を実現します。
◆デュアルエアフローベース・ベンティングシステム
ドライバー特性に応じた最良の位置に2つのベント(空気孔)を配置し、筐体内部の空気のバネ性を緻密にコントロールし、低音の出力を効率的に高めながら、レスポンスに優れた再生音へ導きます。
時代に対応する新コンセプト「重低音×ハイレゾ」を掲げて進化を遂げた新「SOLID BASS」シリーズ。この「ATH-CKS990」はそのイヤホンの上から二番目に位置するモデルだ。
であるので、トップエンド「ATH-CKS1100」との相違点はどこにあるのか?というのもポイントになってくる。
早速だがいちばんの相違点はドライバーだ。CKS1100は「デュアルフェーズ・プッシュプル・ドライバー」というかなり独特なシステムを採用しているが、CKS990はあそこまでは特殊ではない。かといって普通でもなく、こちらはこちらで「デュアルマグネティックフィールド・ドライバー」を採用することで、力強く同時に精密な駆動を実現しているという。
振動板の径もCKS1100の12.5mmよりも大きめな13mmだ。またCKS1100で片方のドライバーに採用されている「マルチトランジェクションDLC振動板」をこちらも採用。「DLC」は「ダイヤモンドライクカーボン」の略で、ダイヤに近い硬度を備えるその素材を振動板にコーティングすることで共振ポイントを分散。鮮明な重低音を実現している。
なおもうひとつわかりやすい相違点は、こちらはケーブルが着脱できないこと。
相違点ではなく共通する大きなトピックは「デュアルエアーフローベース・ベンティングシステム」。新世代ラインナップのコンセプト「重低音×ハイレゾ」実現の鍵となっている技術のひとつだ。
筐体の二箇所にベント(空気孔)を設置して筐体内部の空気バネの弾性を制御し、振動板の動きを適切にコントロール。低音の出力を効率的に引き出しつつ、俊敏な応答性も損ねないようにチューニングされている。
なおCKS1100は外観上もわかりやすく「ベントが二箇所」にあるが、こちらは外観上だと「ステンレス製の音響抵抗材」の露出が一箇所にまとまっている。しかしこれは単にデザイン的な差別化と思われる。実際にはどちらも同じ「デュアル」エアーフローベース・ベンティングシステムだ。
サウンドだが、ATH-CKS1100よりも少しミドルを抜いてベースを強め、高域の明るさも出した印象。ベースやバスドラムの低音の張りのよさとシンバルの高音のシャープさ、その両端が明確なことでワイドレンジ感もわかりやすい。屋外騒音下の利用だと、CKS1100よりも楽しみやすいかもしれない。
聴いた中でこれは特にハマると感じられた曲は、Perfume「Enter The Sphere」。エッジの効いたシンセとドカンと来る低音が炸裂するド派手な曲だ。その派手さをCKS990はこれでもかと引き出してくれる。シンセのジリジリと歪んだエッジの感触。細かなニュアンスとかどうでもよくなるほどのパワフルさで曲を進めるバスドラムの四つ打ち。全体の音調やバランスを破綻させない上での荒さや強引さの表現が巧い。
トップエンドのATH-CKS1100は、かつてのSOLID BASSの雰囲気をかなり大胆に振り切って新次元に到達したモデルとの印象も受ける。対してこちらATH-CKS990は、CKS1100と比べればかつてのSOLID BASSの雰囲気も継承しつつの新次元、という印象だ。
「新・SOLID BASS」シリーズとしての方向性はしっかり共有しつつトップエンドのCKS1100との棲み分けまでバッチリな「デキル二番手」モデルだ。
文:高橋 敦
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。