商品について
シングル高精度MicroDriver搭載SE315はフルレンジサウンドと通気型ドライバーの採用により最適化された低域性能を提供します。曲がり具合を保持する着脱式ケーブルにより、簡単に交換が行え、ステージ上でも外出時でも確実で快適なフィット感を提供します。
◆プロミュージシャンによるロードテストを行いパーソナルモニター技術から進化を遂げたSE315は、パーソナルリスニングおよびプロフェッショナルモニタリングに最適なフルレンジサウンドを提供します。高精度MicroDriverにより、通気型ドライバーを採用した低域性能を最適化設計されたベースポートにより振るレンジサウンドを再現します。
バランスド・アーマチュア型ドライバーを1基搭載するSHUREのカナル型イヤホン「SE315」は、上位機種の技術・設計思想を継承した同社BAイヤホンのエントリーモデルとなる。
本体色はブラックとクリアーの2色から選べる。クリアーモデルは内部のドライバーや配線が透けて見え、プロフェッショナルユースの雰囲気が魅力的だ。ブラックはソリッドな印象。
付属のケーブルは1.6mで、ケブラー素材を用いた耐久性の高さを誇るが、金メッキ仕様のMMCXコネクターを用いた着脱式を採用し、断線時のケーブル交換も可能だ。MMCXコネクターの利点は、接合部が360度回転する事により、装着性の向上にも寄与する。ほか、リモート+マイク付属ケーブルに交換する事でiPhoneのヘッドセットとして常用したり、リケーブルによって音質の変化を楽しむ事ができる。
本機の音質は、イヤパッドの組み合わせで大きく変化する。
今回は多彩な付属イヤパッドのうちのひとつ、ソフト・フォームタイプで試聴した。耳穴の形状に変形してフィットするため、数時間に渡る装着でも違和感が無く、着脱を繰り返しても安定した音質が得られる。特に最新のフォームタイプは高域をあまり吸収しなくなり、遮音性の高さと併せて音質面に優れる。
肝心の音質だが、結論から言うと、SHUREの現行ラインナップの中では、最も「音」や「音楽」が楽しめるモデルだ。
そもそも感度の高さや繊細な表現力はバランスド・アーマチュアドライバーの得意とするところだが、独自の「MicroDriver」は、さらに解像度に磨きを掛けた印象。筆者の愛聴盤であるJane Monheitのアルバム「Taking A Chance On Love」の「I Won’t Dance」では、のっけのドラムにパンチ力の弱さを感じるものの、ブラス系楽器の歪み無く突き抜けるエネルギー感や、各音の分離が気持ち良い。特筆すべきはジェーンの豊富なヴォーカルテクニックと豊かな感性が如実に掴める情報量の多さ。マイクのタイプや種類までも目に浮かぶようである。また、このヴォーカルの生々しさとナチュラルさは、本機がシングルドライバーである事も功を奏していると言えそうだ。
全体の印象として、低域の量感こそ控えめなものの、マルチウェイのように特性を乱す要因が無く、さらにネットワーク回路を持たない事による音質劣化要素の少なさなど、原理面でいくつかのアドバンテージがあるのは確かである。複数ドライバーを持つ上位のSE535やSE425が、低域を中心に本機よりも幅広い周波数帯域をカバーするのに対し、本機はシンプルで鮮度優先。素材の良さをダイレクトに味わえる。
ラインナップ上、SE535やSE425の下位機にあたるが、音質面では決して引けを取らないし、多様な楽器や声が複雑に入り交じる音楽を聴いた時の音のまとまりとバランスの良さ、一音一音の鮮度に着目すると、本機は最も優れていると感じた。
文:鴻池賢三
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。