クリエイターズランド・ミュージアム

クリエイターズランド・ミュージアムについて

1983年、MIDI規格を採用した初めてのシンセサイザーが世に出てから数十年。

シンセサイザーのTVCMが流れ、価格が数千万円だったサンプラーが市民の手に届くようになり、パーソナルコンピューターの発展と並行して、DTM/DAWの世界が広がり始めた時代。80'S、90'Sはプロ・アマ問わず世界中のミュージシャンが新しい機材で、新しい音楽を次々と生み出しました。

それから数十年、技術の進歩は目覚しく、これらのモデルがジャンク扱いでリサイクルショップに並んでいることも珍しくありません。しかし、当時を知らない若者を中心にカセットテープやレコードの音が再評価されているように、シンセやMIDI音源も、現行機種やソフトシンセにはない「アナログさ」「デザイン性」「操作性」などが見直されつつあります。

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そこで、クリエイターズランドでは、MIDI機器が最も熱かった1983年〜2000年前半までにリリースされた機材を集めて、実際に皆様に体験していただく「CREATORS LAND MUSEUM」を、秋葉原のクリエイターズランドにて企画展示いたします。

第1弾 E-MU 1Uラック音源モジュール / 第2弾 KORG ELECTRIBEシリーズ

「CREATORS LAND MUSEUM」 第2弾は「KORG ELECTRIBEシリーズ」

KORG(コルグ)社は、1963年 京王技術研究所として設立されました。そして同年、国産初となるリズムマシン「DONCA MATIC」(ドンカマティック)を発売します。最近は全く聞きませんが、90年代にはリズムトラックのことをよく「ドンカマ」と言ってました。

1970年には、国産初のシンセサイザー試作機を製造。1987年に社名を株式会社コルグに改め、翌年、「世界一売れたシンセ」と言われている世界初のオールインワンシンセサイザー「M1」をリリースします。定価は\248,000。発売当時、まだ消費税は導入されていません。すでに同価格帯でYAMAHA DX7-IIFD、Roland D-50、ensoniq SQ-80など各社フラッグシップモデルがリリースされていましたが、aiシンセシスから生み出される「M1」サウンドはその丸みを帯びたフォルムと相まって近未来的。スペーシィーなカンジ。とにかく衝撃的でした。

KORG(コルグ)

今やスマホやAIスピーカーが当たり前に売られている時代なので、あんな驚きと称賛をもって迎えられる電子楽器はもう出ないんじゃないですかね?「MUSIC WORKSTATION」というコンセプトは現在のDAWにもつながっており、国内外の著名ミュージシャンも多く使用してました。この「M1」の成功によってワールドワイドにKORGブランドが広まり、続くTシリーズ、01/W、Xシリーズ、TRINITY、TRITON、KRONOS等、プロ・アマ問わず多くのユーザーを魅了するオールインワンシンセを多数発売することになります。

KORG M1
KORG M1

リズムマシンに話を戻します。1964年のドンカマから始まって、BOSS Dr.Rhythmシリーズ、Linn LM-1/LM-2、Roland TR-808、Oberheim DMXなど各社の試行錯誤は続きますが、1983年 MIDI規格の登場によって、80年代はYAMAHA RXシリーズ、Roland TRシリーズ、KAWAI Rシリーズ、SC drumtraks、ALESIS HR-16ほか多くのリズムマシンがリリースされます。

しかし1988年にはサンプリング機能&入力用パッド&FDDを装備したAKAI MPC60が発売。集積度が上がったLSIや容量が増えたメモリが安価に大量生産されるようになるとリズムトラックの作成は、より自由度の高いサンプラーやパソコン+シーケンスソフトに取って代わられます。

そして90年前半はハウス/テクノ/トランス/ブレイクビーツ/ドラムンベース/ジャングル/ビッグビートなどダンスミュージック全盛となり、リズムトラックの作成はリズムマシンから、AKAI Sシリーズを代表とするサンプラーやMIDIで制御する「ドラム音源」や「PCM音源モジュール」を使うことが主流となりました。

時代は巡り、90年代後期。Roland MC-303/MC-505(groovebox)のヒットで再びリズムマシンが注目されます。このMCシリーズに対抗して1999年にリリースされたのが「Electribe EA-1/ER-1」です。

EA-1 (1999年)
EA-1(1999年)
ER-1 (1999年)
ER-1(1999年)

同時期のYAMAHA RM1XやMCシリーズと比較すると、価格の安さと作りの質感から廉価版のイメージが拭えないものの、リアルタイムにパターンを変化させていくインタラクティブ性とつまみやパッドの多さ・操作性が強みとなっています。

初代「EA-1/ER-1」から現行モデルの「electribe2」までループ系音楽のトラック制作ツールとして今でも人気があります。現在はElectribeシリーズの方向性はそのままに、リズム/ベース/キーボードを切り出して、アナログ音源+ステッップシーケンサー+インタラクティブなインターフェイスにまとめた「volcaシリーズ」が主力マシンになっていますが、発売当時に流行っていたトラックやサウンドを1台にシュリンクしているという意味では面白いと思います(これはPCM音源のシンセも同じ)。

また2010年には人気があった「ELECTRIBE・R mkU」を模したiOSアプリ「iELECTRIBE」もリリースされています。

ELECTRIBE R mkII (2003年)
ELECTRIBE MX (2003年) 
iELECTRIBE for iPad (2010年)
electribe sampler (2015年)
発売年 型番 特長
1999年ELECTRIBE A (EA-1)アナログ・モデリング音源、パート数2、256パターン・16ソング、ディストーション/テンポ・ディレイ/コーラス・フランジャー
ELECTRIBE R (ER-1)アナログ・モデリング+PCM音源、パート数11(シンセ*4 PCM*4 AUDIO IN*2 アクセント*1)、つまみの動きを記録しループするモーション・シーケンス機能
2000年ELECTRIBE S (ES-1)サンプラー、パート数12、256パターン・16ソング、タイムスライス機能および様々なエフェクトをかけた上でリサンプルできるリサンプル機能
2001年ELECTRIBE M (EM-1)1台でオケ作成可能(シンセ/ドラム/アクセントなど12パート)、PCM音源、256パターン・16ソング、エフェクト11種類、テンポディレイなどマスターエフェクトあり
2003年ELECTRIBE A mkII (EA-1mkII)Aシリーズの進化系、違いはシンセサイザーのパラメーター「OSC Mod」の「Decimeter」⇒「CROSS(クロス・モジュレーション)」に変更された
ELECTRIBE R mkII (ER-1mkII)Rシリーズの進化系、違いはモジュレーションのパラメータに「CROSS MOD(クロスモジュレーション)」が追加された
ELECTRIBE MX (EMX-1)1台でオケ作成可能。コルグのアナログ・モデリング・テクノロジーの集大成「MMT」搭載。パート数16、エフェクトは16種類×3系統(チェイン可能)
ELECTRIBE SX (ESX-1)モノラルで最大285秒(256個)、ステレオで最大142秒(128個)のサンプリングが可能(計384個)、プリセットは196サウンド、128パターン
2004年ELECTRIBE S mkII (ES-1mkII)Sシリーズの進化系、違いはエフェクトの「Wah(ワウ)」⇒「MOD.DELAY(モジュレーション・ディレイ)」に変更された
2010年ELECTRIBE MX (EMX-1SD)ELECTRIBE MX (EMX-1)のSDカード対応版
ELECTRIBE SX (ESX-1SD)ELECTRIBE SX (ESX-1)のSDカード対応版
2014年electribe2Mシリーズの進化系、アナログ・モデリング音源+PCM音源、16パート、同時発音数24、フィルター/MOD/ENV装備、アルペジエーター50種、カラーはグレーとブルー
2015年electribe samplerSシリーズの進化系、アナログ・モデリング音源+PCM音源、16パート、サンプル数は最大499個(モノで約270秒)、カラーはグレーとレッド

「CREATORS LAND MUSEUM」 第1弾はE-MU 1Uラック音源モジュール

E-MU(イーミュー)社は、1993年に「Sound Blaster」で有名なCreative Techonology社に買収され、「Sound Blaster」シリーズに搭載するDSPを開発するなどE-MUサウンドは継承しつつも、よりコンシューマー向けの製品が大勢を占めるようになります。

E-MU(イーミュー)

その後、同様に買収されるENSONIQ(エンソニック)社と共に「E-MU Ensoniq」として、2000年前半には尖った製品を世に送りましたが、のちに「E-MU」ブランドでオーディオ I/Oをリリースし、一般的にはPC周辺機器メーカーのイメージが定着、現在に至ります。

今回、「CREATORS LAND MUSEUM」で選んだE-MUの1Uラック音源モジュールは、1989年にリリースされた「PROTEUS1」から、2002年リリースの「VintegePro」までの全29機種で未だに高い人気を誇ります。

減算方式のシンセから、大容量(4MBとかですが)の波形メモリーを搭載したPCM音源方式のシンセが少しずつ出てきたこの頃、「PROTEUS」シリーズは、サンプラーの名機「Emulator」ゆずりのゴツゴツした中にも合間に見せる楽器本来の生々しさをあわせ持ったサウンドが大いに受けて、20万円くらいの音源としてはよく売れました。

リアルタイムで体験したクリエイターズランドのスタッフですが、当時は初期の4モデル「PROTEUSU1/XR(ロック/ポップス系)」「PROTEUS2/XR(オーケストラ系)」「PROTEUS3/WORLD(民族音楽)」「PROCUSSION(ドラム/パーカッション)」を店頭展示しており、「いつかはPROCUSSIONを手に入れるぞ!」と誓ったものの、そこは当時15万円する"高嶺の花"。価格が3分の1の「ALESIS D4」が限界でした。このように「PROTEUS」シリーズがヒットした理由の1つに、あるジャンルに特化したモデルだったという点があげられます。

後にオールジャンル対応の「Ultra PROTEUS」や「PROTEUS 2000」がリリースされますが、この頃にはコスパ最強「SC-88pro」や「TRITON-Rack」のようなマルチ音源が各社から登場、またダンスミュージックに特化したモデル(M-DC1とか)もあり、E-MU一択ではなくなりました。

しかし、音楽や機材が一巡した感のある現在、E-MUはもちろん、D-50やDX-7UやM1サウンドが逆に新鮮に感じます。ボタンやノブが少ない、ディスプレイも小さいですが、操作性は抜群。
しかも中古で安い。クリエイターズランドおすすめのE-MUです。

音源モジュール
CREATORS LAND MUSEUM 「E-MU 1U RACK SOUND MODULE」は秋葉原クリエイターズランドで展示しています。実物のサウンドを是非一度聴きに来てください。
【展示期間】2017年11月〜2018年8月

展示ラインナップ(2018年8月最終)

  • Proteus FX 1994年
  • PLANET PHATT  1997年
  • PROTEUS2000 1998年
  • PROTEUS1000 2002年
  • Proteus Orchestra(Virtuoso 2000) 2000年
  • Xtreme Lead-1 2000年
  • MO'PHATT 2000年
  • Audity 2000(Digital Rhythmic Modular Synthesizer) 1998年
  • Orbit(The Dance Planet) 1996年
  • Vintage Keys 1993年

「CREATORS LAND MUSEUM」 今後の企画案

リクエストがございましたら、クリエイターズランドのtwitterまでご意見・ご要望をお寄せください。お待ちしております。

KAWAI Kシリーズ 音源モジュール

K1r/K1r ver2/K3m/K4r/K5mの5機種(XD-5含まず)。1997年発売のK5000Rが未だに高値で取引されている人気のカワイ音源モジュール。それ以前のモデルはそもそも市場に出てきません、本当に集められるのか?。

イエスの「ロンリーハート(1983年)」で一躍有名になった「オケヒット」ですが、音色の系統は違うもののK1rのプリセットに「オケヒット」が入ってました。(PCM音源ではおそらく初)

ENSONIQ 61Keyモデル

1986年〜1998年に発売されたESQ-1/SQ-80/SQ-1/VFX ver2.0/SD-1/TS10/MR61/FIZMOの8機種。リアルさより、楽曲の中での存在感が際立つサウンドで人気でした。

音も内蔵エフェクトも見た目も重量もマニュアルも全てがアメリカンなカンジ。E-MUが"プレイバックサンプラー"なら、Ensoniqは"ザ・シンセサイザー"

据え置き型ドラムマシン

国内リズムマシンの歴史は、KORG「ドンカマチック(1963年)」の登場からすでに50年以上が経過。その間にRoland TR-808/TR-909といった世界的名機をはじめ、オールジャンル、クローンモデルなど様々な機種が登場しています。

クリエイターズランド・ミュージアムでは80年代〜90年代初期に発売されたRoland TR505、YAMAHA RX7、KORG DDD-1/5、KAWAI Rシリーズ、AKAI XR10、ALESIS HR-16など微妙なポジションの機種を集めたいと思います。