商品について
Wi-Fi、Bluetooth、FM/AMチューナー搭載。ハイレゾ、DSD音源対応 Hi-Fiネットワークオーディオプレーヤー
DSD 2.8/5.6MHz、192kHz/24bit
AIFF/WAV/FLAC、96kHz/24bit Apple Losslessネットワーク対応。
Wi-Fi、Bluetooth、AirPlay 対応。
Marantz独自テクノロジー HDAM搭載フルディスクリート・アナログ出力回路。
フルディスクリート・ヘッドフォンアンプ搭載。
高音質オーディオグレードパーツを使用したサウンドチューニング。
FM/AMチューナー搭載。
マランツのネットワークプレーヤー「NA6005」は、ミドルクラスのNA8005をベースにして装備や機能の整理と追加を行った姉妹機だ。省略した機能の代表はUSB-DAC。追加した装備はWi-Fi、Bluetooth、FM/AMチューナーと広範囲に及ぶ。この3つは上位機種にはない本機だけの装備で、特にWi-FiとBluetoothはスマホやタブレットの音源をワイヤレス再生する用途を視野に入れている。もちろんNASの音源を聴くときにもWi-Fiを利用できるので、LANケーブルの配線が難しい環境にネットワークオーディオを導入したい人にお薦めだ。
今回は筆者の試聴室にNA6005を持ち込み、普段聴いているシステムにつないで試聴を行った。
NA6005でいろいろな音源を聴いてみよう。まずはボーカル。ダイアナ・クラールとノラ・ジョーンズを聴くと、ハイレゾならではの声のなめらかな質感が耳に心地良い。CDで聴くと声の中音域やアコースティックギターの高音弦が前面に出て、いわゆる「元気な音」に感じてしまうのだが、今回ハイレゾ(いずれもFLAC 96kHz/24bit)で聴いた二人の女性ボーカルは、しっとりとした柔らかさが加わり、楽器間のバランスも落ち着いて聴こえる。
とはいってもボーカルの発音は鮮明で、ピアノの和音は低音から高音まですべての音域でくもりがない。アタックがなまらず、スッと自然に立ち上がる良さは上位機種から受け継ぐ本機の長所の一つだ。ちなみにそうした本機の資質はネットワーク再生と共通仕様のUSBメモリー再生でも確実に聴き取ることができた。
DSD音源はWilson Audiophile Recordingsの録音(2.8MHz)とMA Recordingsの5.6MHz音源を聴いた。アナログマスターからDSDリマスタリングされた前者では、マスター同様、シャープに引き締まったヴァイオリンの音像と表情の階調の豊かさを忠実に再現。後者では奏者の息遣い、ギターのサウンドホールから放たれた空気の動きなど、演奏の現場にいないとなかなか気づかない音がスピーカーからリアルに聴こえてくる。その生々しい感触は期待を上回っていた。というのも、普通はこの価格帯のプレーヤーからここまでの実在感を引き出すのはほぼ不可能に近いからだ。
Bluetoothではさすがにそこまでのリアリティを期待するのは難しいが、Airplayでは抜けの良さや自然な周波数バランスに好感を持った。じっくり聴くときはネットワーク再生、バックグラウンドで流すときはモバイルからワイヤレス再生という具合に使い分けるつもりで音を出してみたのだが、本機のAirplay再生はそれほど簡単に割り切れそうもない。CDクオリティの音源なら満足度はかなり高いと思う。
ネットワークプレーヤーの購入を検討している音楽ファンは、ハイレゾのメリットを実感できる性能をエントリークラスの製品にも期待している。NA6005はその期待を裏切らない実力派のプレーヤーである。
文:山之内 正
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。